30歳から先の未来
ついこの前まで、30歳から先の未来について思いを巡らせたことがなかった。
もう決して遠い未来ではないのに、割と本気で。
こうなりたい理想の自分を想像するとき、30歳を上限としていたことに気がついた。
その歳でわたしは”完結”で、それまでをどう過ごすか?ということしか見えていなかった。
「30歳で死ぬと思って生きてる。」
高校生の頃、仲の良い友達から放たれたこの言葉がひどく印象に残っている。
「そう思えば何でもできそうじゃない?」と続いた。
深く納得して、安心した。
想像のつかない未来や、目の前の進路についてモヤモヤと考えていたわたしに
30歳という期限がつくことで、それなら生きられるかも、と思わせた。
大学を経て社会人になっても、30歳で終わりだし、という感覚が意識の中にずっとあった。
期限があることで毎日を頑張れることもあれば、
その日暮らしを肯定して未来の計画から逃げる言い訳にも使えた。
正直今もその感覚が消えたわけではない。
けれど完結まであと3年という頃、仕事でお客さんと打ち合わせをしている最中、
取引先の方がぽろっと「僕今40ですけど〜・・・」と言った、その瞬間にハッとした。
すごく仕事のできる方で、その人に憧れていた。
わたしもこうなりたい!と思っていたのだけれど、
わたしにとって、「こうなりたい理想の自分の姿 →上限は30歳」だから、勝手にあと3年で届かなきゃ、と思い込んでいた。
だから40歳と聞いた時に、あと13年ある!!!??と思ったの。
衝撃的だった。
30歳から先の未来の存在にその時初めて気がついた。
あと3年でどうにか理想に届かなければいけないと、焦ったり諦めたりしていた頭が開けた。
13年あったら、この人に届く可能性は十分にあると思えた。
とても大きい希望だった。
今でもすぐに、もう時間がないと焦ってしまうのだけど、
その時はこのことを思い出そうと思う。
長いスパンで見ればいい。
30歳から先の時間はまだたっぷりある。
40、50、60どんな人間になっていけるだろうか。
何を叶えていけるだろうか。
期限付きでないことは、いつの間にか怖く無くなっていた。
最近は時の流れがものすごく早いし。
明日期限が来るかもしれないし。そっちのが怖い。
30歳の自分は通過点だ。
先の理想を見据えながら、その日を迎えたい。
通過点を通る頃、今より自分に納得していられたらいいなと思う。